☆ウォーキングの効果※この文章は、2006年度 某区の消費生活通信講座のテキスト「ウォーキング」~もっと気軽に運動してみよう~用に書いたものです。 2.ウォーキングの効果 ウォーキングを始めたら、よく眠れるようになった、気分が爽快になった というようにすぐに感じられる効果を短期効果といいます。また、風邪をひ かなくなった、自信がもてるようになった、行動半径が広がった等、継続す ることで出てくる効果もあります。これを長期効果といいます。ウォーキン グが生活に定着すると、血圧が安定する、肥満度が低下する等、身体にも 様々な変化が現れます。これを生理学的効果といいます。 次の表1をご覧ください。 表1 運動の短期効果、長期効果、生理学的効果 ( 波多野 義郎 ) 「短期効果」 ・気持ちがよい ・ストレス解消 ・よく眠れる ・便秘解消 ・食欲増進 ・肩こりが取れる ・腰痛が改善される ・心身爽快 「長期効果」 ・体重コントロール ・体力向上 ・息切れしなくなる ・風邪をひかなくなる ・生きがいができる ・友人が増える ・自信が持てるようになる ・行動半径が広がる 「生理学的効果」 ・肥満度低下 ・血中脂肪低下 ・血圧正常化 ・毛細血管発達 ・心拍出量増加 ・血流能率上昇 ・ホルモン分泌増加 ・動脈硬化改善 最近の研究では、歩行、腹式呼吸、咀嚼(そしゃく)などのリズミカルな運 動を続けると、興奮を抑えて安らかな気分にさせる神経伝達物質セロトニン が分泌されることがわかってきました。この、セロトニンが何らかの原因で 十分に作用しないと、うつ病の一因となると言われています。ウォ-キング はうつ病の予防法としても期待されています。 また、計画を立てたり、歩いて訪れる場所を調べたり、いろいろなことに 興味を持ちながら歩くことは、脳を活性化させ、認知症を予防する効果があ るとも言われています。 研究者や詩人の中には歩くことで想像力を刺激し、ひらめきを得たり、考 えをまとめたりした人がいます。アリストテレスは、弟子たちと学園の遊歩 道(ペリバドス)や郊外を散歩しながら議論を交わしたため、彼の学派は逍 遥学派(ペリバドス学派)と呼ばれました。アインシュタインは、壁にぶつ かると、方程式を眺めるのをきっぱりとやめて、歩きに出たそうです。する と明瞭な答えがひらめくことがあったそうです。また、イギリスの詩人、コ ールリッジとワーズワースは、共によく歩き、想像力を刺激し合ったことで も知られる文人です。 私たちも、考えが煮詰まってしまった時などは、じっとして考え込むよ り、表に出て歩いてみると、よい解決策が見つかったり、心の持ちようが変 わったりするかもしれません。 |